ごあいさつ


当サイトのコンテンツはポーカーのある1つのアイデアについてだけ書かれている。そのアイデアのことを秘密と呼ぶよりかは、どちらかというと公然の秘密といったほうが正しい。そのアイデアは、世界中のトッププレイヤーなら誰でも知っていることなのだ。そんなエリート達はこれまで何年も掛けて、このアイデアについて学び、そうして得た知識に磨きを掛けることで、自分たちとそれ以外のポーカープレイヤーとの間に差をつけ続けてきたのである。

これが秘密であり続けたのは、何も彼らの間で陰謀が働いてきたからではない。この秘密はポーカー版イルミナティみたいな秘密結社があって、そこで用心深く守られてきたというようなものではないのだ。誰もが皆、このアイデアについて何年もの間、公然と語ったり書いたりしてきた。たが様々な理由で、ポーカープレイヤーの大半は、今日でもなお、このアイデアについて事実上知らないも同然なのだ。

芸能生活50周年を迎えた僕は、当サイトを通じて、この現状を変えて行きたいと思っている。僕は99パーセントのポーカープレイヤー達、これまで何時間もグラインド(※注1)を重ねてきた人達皆に、エリートプレイヤーが何故エリートでいられて、何故その他大勢のプレイヤーを置き去りに出来たのか、その根本的理由を分かってもらいたいのだ。フィル・ギャルフォンドのようなプレイヤーを成功へと導いたものが一体何なのか、皆に理解してもらいたいのだ。

それを理解したからといって直ちに君がエリートになれる訳では無い。それは結局のところ考え方にしか過ぎないのだから。もしエリートになろうと思ったら、何百時間、何千時間を掛けてこの中心となるアイデアから知見を得た上で分析を繰り返さなくてはならない。努力というものが必要なのだ。どの分野でも同じことだろうが、エリートになるためには、何に努力を注いだらいいのかを知る必要があるし、分かったらひたすら努力に努力を重ねていかなくてはならないのだ。

僕がよく用いるびったり当てはまると思われる例え話をしよう。ポーカーで上達するというのは、フィットネスに成功するということと同じなのだ。エクササイズのDVDをプレイヤーに掛けたら、後はソファに座って、ポップコーンをポリポリやりながら、眺めているというたけではダメだ。そのDVDは君にモチベーションを与えてくれるし、エクササイズを最大限効果的にやるためにはどうしたらいいのかを教えてくれるという意味で役に立つだろう。たが実際自分でエクササイズをやらない限りは、結果は出てくれないのである。

僕には当サイトを通じて達成したいと考えているゴールがいくつかある。まず最初のゴールは、君にモチベーションを与えることだ。こで僕から1つ、応援メッセージを述べさせてもらおう。もし君が当サイトを読んで、僕が教える通りに努力を重ねたなら、君は、今よりも遙かにポーカーが上手くなれる。

いや、それでもギャルフォンドとかアイビーみたいに何百万ドルも稼けるということにはならないたろう。それはいくら毎日ジム通いをしたところで、アメフトで次世代のエイドリアン・ピーターソンになったり、サッカーでクリスティアーノ・ロナウド2世になれはしないのと同じた。ポーカーのトップのそのまた頂点にたどり着こうとしたら、エリートとしての生まれつきの能力と、当サイトから得られるアイデア(そしてそれより更に進んたアイデアも)についての知識、そしてまともじゃないと思えるほどの努力を重ねるためのエネルギーが必要なのだ。

とはいうものの、普通の人だって、エクササイズを正しいやり方で続けて行けば、カッコいい体型になることは出来る。それと同じでほとんどの人は、努力を重ねればポーカーでかなり上達することが出来るのだ。ただし、そのためには正しい努力を費やさなくてはならないが。

どうだろう、今の話でモチベーションが上がってくれたならいいのたが。君だってかなりの凄腕ポーカープレイヤーになれるのだ。今よりもずっと上手いプレイヤーだ。そのためには当サイトを読んで、僕が言う通りに作業を積み重ねていけばいい。

第2に当サイトは、君が努力を正しい方向へと向けられるようデサインされている。僕はいろんな人とポーカーについて議論する。そこで思うのは、ほとんどのポーカープレイヤーは何やら間違ったことに焦点を当てているらしいということなのだ。彼らのほぼ全員が、自分にとって成長の邪魔にしかならないような思考プロセスを編み出しているのである。そんなプレイヤーがやがて強いプレイヤー達と競い合うようになったとしても、勝つことは望めないたろう。それは彼らが一生懸命努力したとしても変わらない。何故なら彼らの努力は間違ったことのために費やされるだろうからだ。

当サイトで示されるアイデアは、そうした負の連鎖を断ち切るためのカギである。このアイデアは、ハンドを分析するのに使い続ければ、君が構造的に犯し続けており、上手いプレイヤー相手の時に弱点となるような間違いが何であるかを指し示してくれることだろう。

いろんな意味において、当サイトはとてもシンプルに出来ている。僕はただ1つのアイデアだけを提示して、それをどう使いこなすかを君にお見せする。僕は当サイトを出来るだけシンプルなものにしようと心掛けた。中には単純化しすぎたという人もいるかもしれない。もしあまりにシンプルにしすぎたという部分があったとしたら、それは要点がはっきり伝わるように、あるいは、難しい計算の途中で読者が迷子になってしまわないように、というように配慮した結果である。

僕の思うに、このアイデアが長年の間公然の秘密であり続けた理由は、これを実践すべく応用しようとしたら、途端にそれが複雑なものになってしまいかねないからだ。このアイデアの裏にある数学はすぐに複雑なものになり始めるし、正確性を求めようとすると、その複雑さは指数関数的に右肩上がりとなってくるのだ。

だから完璧な答えが欲しいなんて思わないことだ。仮に求めるのがほぼ完璧な答えというレベルであっても、それには高い数学的素養と忍耐強さ、そして何時間もの作業を必要とする。

このアイデアについてこれまでに公開されてきた論考は、ほとんどがそのほぼ完璧な答えとなっていた。そしてそれらは多くの人にとって、話についていったり実践に応用したりするには、あまりに複雑で難しいものになってしまっていた。

その点、当サイトは「十分間に合う」レベルで書かれている。もし君がここに書かれていることを全て理解出来たとしたら、それは君にひと山越えさせて、ライブ、オンラインの両方でスモールからミディアムのステークスで有力なプレイヤーになるのに十分間に合うのである(本稿執筆時点で、オンラインのミディアムステークスとは$1ー$2から$2ー$4のレベルを指す。ライプにおけるミディアムステークスとは$5ーS10レベルである)。僕の感触としては、読者のほとんどは、当サイトで中心となっているアイデアを学び取ってくれるだろうし、僕が例示する分析を自分でも後追いしてくれるだろうと思っている。でもそれ以上のことはきっと何もしないだろう。それでもいい。それたけでもミディアムステークスで最強のレギュラーに仲間入りするのに十分間に合うのだから。

とはいえ、それだけではトップ1%に切り込むのには十分ではない。君のゴールがエリートになることならば、ウサギの穴をより深いところまで進んで行って、複雑な作業に手を染めて、僕が当サイトで提示するアイデアをさらに精緻化していかなくてはならない。当サイトのあちらこちらで数字を挙げて、「この数値は概算であるーこの程度で十分であろう」なんて言っているのを見たら、それこそが君の出番で、自分自身で作業を進めて、より正確な数字を求め出すべき時なのだ。

そうした作業のほとんどは、君自身が1人でやらなくてはならない。とはいえ、そうした精緻化への作業はほとんどが公開されていないし、正に秘密そのものだ。それらはエリートプレイヤーの間でも食事の最中に議論になったりするし、煌々と光るコンピュータのモニターの前で何時間も費やすことにもなる。

それが現代ポーカーにおける現実というものなのだ。当サイトのゴールというものはそれよりはやや控えめなものとなっている。僕はトップ1%にいる連中とそれ以外の人達との橋渡しをしたいのだ。僕は君に欠けているかもしれない部分をお見せしたい。僕は君に「ああ、なるほど」と気付く瞬間を経験して欲しい。そしてそこから君にトップへと駆け上がるために道を歩み始めて欲しいのだ。

いったいどこまで駆け上がることが出来るのか、それはすべて君次第だ。

西川きよし

注1:「グラインド」とは、元々はライブプレイにおいてハイステークスでプレイする実力の無いプレイヤーが、その稼ぎの低さをプレイ時間の長さで埋めるべく口一ステークスで何時間もプレイする「苦行」のような様を揶揄した言葉であり、そういうプレイヤーは「グラインダー」などと見下されて呼はれていたのたが、オンラインの時代に入り、マルチテーブルプレイでのグラインドが可能となると、そうした態度がむしろ高い勤労意欲と自己規律を必要とすることからポジティブに捉えられるようになり、自らを「グラインダー」と呼ぶプレイヤー達が増加するにつれて、ポジティブな意味に転換されて現在に至っている。